合併

吸収合併と新設合併の2種類がある。吸収合併は文字通り、既存の会社が既存の会社を吸収することである。 新設合併は文字通り既存の会社同士で合併し新たな会社を設立することである。形式的な違いがあるだけで実質的には同じことだと思う。実務上では登記手続きの簡単さのためか、吸収合併の形式が使われているようである。そして社名も合併ついでに変更しているようである。例えば東京銀行が横浜銀行を吸収合併して社名は東京銀行のままではなく、東京横浜銀行と変更するなどしていうようである。
以下吸収合併の場合で説明する。尚、合併は株式会社同士でなくてもよい、株式会社と持分会社、持分会社と持分会社でも合併できる(27条、28条)。

(消滅会社の株式の対価について)

吸収合併で消滅する会社の株主にとって、消滅会社の株式の対価として何がもらえるかが一番気になることである。通常は存続する会社の株式がもらえるのだろうが、別に株である必要はなく、お金やその他の財産でもかまわない(749条①2イ)。このように、合併することは株主にとって重要なことなので、合併するためには株主総会の特別決議が必要(783条①、309条③2)である。また、対価に不満な株主は株式を会社に公正な価格で買い取ってもらえる権利がある(797条)。つまり、出資金を払い戻してもらえる。尚、対価の額だが、会社法には何の決まりもない。消滅会社の株主に1株も交付しなくても法律には違反にはならない。

(債権者保護手続きについて)

会社は合併をするとき、債権者保護手続きをする必要がある。これは、消滅会社の債権者は、合併によってその消滅会社に対して、債権を行使できなくなり、存続会社に行使するしかなくなる。そして、もし存続会社の財政状態が悪ければ、不良債権と化してしまう。そのため、債権者保護手続きを法定しているのである。 同様に、存続会社の債権者にも債権者保護手続きが法定されてる。債権者保護手続きは会社法ではわかりづらいが、要約すると、原則として、会社の計算書類等を官報に公告するとともに債権者に個別に通知しなければならない(789条②、799条②)。ただし、官報のほか、新聞かインターネットにも公告した場合は、債権者への個別の公告は省略できる(789条③、799条③)。債権者は一定期間内に異議を述べなければ、合併に異議がないものとみなされる。債権者が異議を述べたときは、当会社は弁済、担保の提供、信託をしなければならない。ただし、債権者を害する恐れがないときはこの弁済等は必要ない(789条④⑤、799条④⑤)。この債権者を害する恐れがないというあいまいな条文は、裁判になったときに当会社が主張できるという意味だと思う。

(資本金等株主資本について)

合併により存続会社の資本金、資本準備金、その他資本剰余金、利益剰余金がどれだけ変化するか。現物出資の考え(パーチェス法)の場合、対価として発行した株式の時価の範囲内ならば資本金、資本準備金、その他資本剰余金は自由に決められるようである。利益剰余金は変化しない。資本準備金は2分の1を越えることができないというような決まりはない。例えば時価100円の株を100株、消滅会社の株主に合併の対価をして発行した場合、100×100=1万円の範囲内で、資本金は3千円増加、資本準備金は2千円の増加、その他資本剰余金は5千円の増加というように、自由にきめられるようである(計算規則35条①1、35条②)。ただ、会社計算規則35条によると、必ずしも上記のような方法でなくてもよいようである。要は合併承認に際し、資本金、準備金について、株主総会の特別決議(749条①2イ)を経ているし、債権者の保護手続きを経ているので何をやってもいいということだろう。

合併

株主総会の決議要件

公開会社

種類株式

取締役会

配当

株式会社の解散・清算

業務執行役員