株式会社の解散・清算

会社は、解散をし、残余財産を清算することによって消滅する。解散の時点では法人格は消滅せず、清算手続きの終了によって消滅する。清算終了の登記もしなければならないが、登記によって法人格が消滅するわけではないというのが通説らしい。清算手続きの終了とは、残余財産の清算事務が終了し、決算報告が株主総会に承認されたときである。当たり前のことだが、清算手続きに重大な瑕疵(間違い)があるのに形だけ株主総会で承認されても法人格は消滅しない。まあ細かいことなのでどうでもいいことだと思うが。

(解散)

株式会社は以下のことで解散する。

1.定款で定めた期間の満了(471条1)
例えば、定款で設立より20年で解散すると定めた場合

2.定款で定めた解散事由の発生(471条2)
例えば定款で設立者の山田太郎が死亡したとき解散すると定めた場合

3.株主総会の特別決議(471条3)
株主総会で3部の2以上の多数により解散しましょうと決議することである。このパターンが実務では一番多いでしょう。

4.合併による消滅(471条4)
他の会社に合併された場合で、これ普通の意味での解散ではないと思う。合併すれば元の会社が消滅するのは当然で、後の清算手続きも必要ない。会社法でわざわざ合併を解散・清算の章に入れたのかは、よくわからないし、解散の定義に入れる必要も全くないと思うのだが。私の浅学のせいかもしれない。

5.破産手続き開始決定(471条5)

6.裁判所による解散命令(471条6)
問題のある会社は裁判所から解散命令が出される。

7.休眠会社のみなし解散(472条)
変更登記などが12年以上ない場合に解散したものとみなす制度である。取締役の任期は最長でも10年なので、12年も何も登記をしないということは、この会社はもうないのであろうという趣旨である。

(清算)

会社が解散すると、残余財産の清算手続きをしなければならない。ただし、合併による消滅のときは当然、清算の必要はないし、破産の時は裁判所が清算をしてくれる(479条1)。清算手続きとは、会社に残っている財産を債権者に返し、まだ残りがあるときは、株主に分配することである。もちろん株式の数に応じて分配しなければならない。

清算手続きを行うのは清算人である。清算人は、定款であらかじめ定めておくか、株主総会の普通決議で選ぶ。何もしなければ取締役がそのまま横滑りする(478条①)。監査役は解散後もそのまま任務を継続する。会計監査人、会計参与は解散共に退任する。会計監査人というのは事業活動の会計を監査する人だからであろう。

清算人は残余財産を調査し、債権者に対し、解散したので債権があるなら申し出をするように通知し、かつ官報に公告しなければならない。申し出期間は2カ月以上の長さが必要である(499条①)。この申し出期間中に勝手に特定の債権者に弁済をしてはいけない(500条)。抜け駆けはだめということであり、すべての債権者がそろった後で分配しようということだろう。そして、債権者に弁済した後、まだ財産が残っていれば株主に対して株式の数に応じて残余財産が分配される。最後に清算手続きが株主総会で承認されて会社は消滅する。清算終了も忘れずに法務局は届け出ましょう。

合併

株主総会の決議要件

公開会社

種類株式

取締役会

配当

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業務執行役員