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プロ野球選手の選手寿命が伸びた原因についての一つの試案

だいぶ前からだが、プロ野球選手の寿命が伸びた。40年位前なら、一流選手ですら投手で30代前半。野手で30代後半が限度だった。どうも、もっと昔の昭和30年くらいはもっと短かったようである。その伸びた原因というものを考えようというのがこのエッセイの目的である。すぐ思い浮かぶのが、まず、体のケアがよくなったことがあるだろう。ピッチャーは投げすぎで肩をいためることが少なくなった。怪我の治療法も発達したであろう。しかしそれ以外に重要な要素があると私は思っている。それは世代間の実力の差のことである。つまりある世代が上の世代より実力が高ければその世代は若年のころから1軍で活躍できるであろう。そしてある世代が下の世代より実力が上なら、年をとっても活躍できるであろう。そこで単純化してまず野球技術や練習法が時代と共に(実際はしているが)進歩しないとしてみよう。その時、実力の高い世代とは野球人口の多い世代である。つまりその世代の人口が多く、かつ野球をする少年が多い世代である。単純に人口が多いのは戦後のベビーブーム世代と昭和40年代後半の第二次ベビーブーム世代である。そして野球をする少年の割合が多かったのも(おそらく)その世代なのである。昭和の終わりくらいには誰もかれもが野球をするという時代は終わった。そこでこの例を見てみると 戦後、昭和20年代、30年代は高卒でいきなり活躍している打者が多いのである。昭和30年ころ中西太や豊田泰光は高校を出てすぐ大活躍している。張本勲も昭和30年代なかば高卒ですぐ大活躍している。長嶋茂雄も(大学出だが)最初から、本塁打、打点王になっている。これは昔の人間が早熟だったためでも何でもなく(実際は今より遅熟だった)単に上の世代がこの長島たちの世代より実力がなかったからである。この長島より上の世代は戦争で多く亡くなっているし、野球をする人も長島世代よりは多くはなかったのであろう。しかし長島世代も次の戦後のベビーブーム世代があるので安穏とはしていられない。このベビーブーム世代は野球が盛んだった世代である。野球部の部員数も多かったらしい。となると実力も上である。しかしこの世代で打者で高卒ルーキーで大活躍した人は知らない。実力が落ちてくるのは昭和50年以降生まれの世代である。子供の数が年々減っていくし、野球をする割合も減った。昔は運動神経がいいのはみんな野球をしていた。そのためにその上の世代である1970年くらいに生まれた世代が高齢になっても(例えば金本とか)活躍できたのではないだろうか。そしてこのことは子供の数が年々減っている日本ではどのスポーツにも当てはまることなのである。かなり雑な文になってしまったが、簡単に言えば若いもんが不甲斐ないから、年寄りはいつまで経っても引退せずにすむということである。

2019年6月2日

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