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太平洋戦争、日中戦争について思うこと

 毎年8月ごろになるとマスコミなどで、先の太平洋戦争や原爆のことが話題になる。私は、この戦争についてたいして知らないが、いろいろ思うことを率直に書いてみたい。

 私は1970年生まれである。戦後25年して生まれたので当然戦争の直接体験者ではない。父方の祖父が中国戦線にいったこと。母が広島の原爆のきのこ雲を見たこと。祖父か祖母がが原爆が落ちる直前に船を引き返し、難を逃れたこと。広島の親戚の女の人の中に、原爆のため鼻に穴があいた人がいたこと。その人は大変な人生を送ったことだろう。その人は、なんでも広島で被爆し、2日後くらいに、目以外は全身包帯ぐるぐる巻きで、江田島市の実家につれて帰られたらしい。母の実家は農家だったので食料は豊富で、その甲斐あって、その後命は助かったということだ。これぐらいが間接的な体験である。私が子供の頃、中年以上の人たちが、太平洋戦争をついこの前のことのように語るのが不思議でしょうがなかった。幼い私にとって太平洋戦争など想像もつかない遠い昔の話に思えた。30年以上も昔の話だったからである。でも、私もこの年になって、そういうことをいう大人の気持ちがわかるようになった。今の私にとって30年前はそう遠い昔ではないからである。

 私が非常に心苦しく思うことは当時の指導者はバカだったということを評論家の皆さんやマスコミが言うことである。挙げればきりがないが、「負けるとわかっている戦争に国民をけしかけた」「陸軍と海軍は仲が悪くて機能していなかった」「空母の時代に大和などをつくって」などなど。社民党の人たちなどが靖国神社はA級戦犯が合祀されているからいかんというのも心苦しく感じる。わたしにはA級戦犯の人が死刑に値するほど邪悪だったとはとても思えない。普通の道徳感と行動をとった人たちだと思う。当時の指導者を罵倒するのは一種のイジメのようなものだと思う。当時の指導者は罵倒してもよいと甘えているのである。

 当時の指導者が無能だったということだが、他の国を眺めてみれば、同じようにバカなことをしているというのが私の感想である。どうしてもNHKのドキュメンタリ-とかを見ると日本軍の無能さを強調しアメリカ軍の能力の高さを強調しがちになってしまう。私は第二次世界大戦の本を何冊か読んだがどこの国も日本同様、内部闘争はするし、判断ミスはするし、品のない指導者はいるしで日本同様バカげたことをしている。好戦的な軍人もどこの国にもいる。A.J.P.テイラーがいっているように人間には人口1億もいるような国家を運営する能力などないのである。こんな国家などできたのは、つい最近で人類は長年せいぜい数十人の集団で生活していたはずだ。その程度の規模の集団の運営能力しか人類にはないのではないか。

 さて、太平洋戦争に突入したことだが、これはもうしょうがなかったのでは、というのが私の感想である。戦後すぐの世論調査でも多くの国民がそう考えていたようだ。アメリカ人の日本人蔑視というのも大きかったのかなあ。アメリカが資源を日本に輸出しなかったというのが戦争の原因だが、私が思うに、真珠湾など攻撃せずに、平和的にインドネシアあたりの資源をとってくればよかったのにと思う。アメリカの世論は戦争反対だったようだし。まあ、こんなのは傍観者の勝手な意見なのだが。

 それにしても思うが、アメリカが日本をあそこまで徹底的に痛めつけたのはなぜなのかと思う。昭和19年の時点でもう完全に勝負あったという状態だった。この時点で終戦ということはできなかったのか。なぜ、あそこまで日本を空襲する必要があったのか。あの空襲は単なる一般民衆の大量虐殺としか思えない。日本政府より人道的だったアメリカがあそこまでしたのは本当に残念だ。日本を占領して民主的な素晴らしい国にしてあげるというつもりだったのかもしれないが、当時の日本は、今の人たちが考えているほどひどい国ではなかったと思う。

 2002年ごろ私は無職で時間もあったので、日中戦争やら太平洋戦争の本を結構読んだ。その時、日中戦争というのは一種の中国の独立戦争だったんだなあという感想をいだいた。日本はおごっていたのだろう。アメリカ人が日本人を蔑視していたように日本人も中国人を蔑視していたのだ。

 戦前の日本がなぜあそこまで軍国主義だったか。これは当時の力に頼る時代の雰囲気だろう。他の国は第1次世界大戦で懲りて、力による政治も終わりかかっていたが日本は第1次世界大戦を経験していない。さらに遠因を言うと、ペリーによる砲艦外交がきっかけともいえる。つまり開国しなければ、江戸を砲撃するという、当時の常識でも無法なことをしたことが、日本の軍国主義のきっかけだともいえる。力によって痛めつけられた人は、力を蓄えて自分も暴力を振るうもんだ。ただペリー来航から太平洋戦争まで90年もたってるからちょっとこじつけかなとも思う。ペリーの砲艦外交が攘夷運動の原因であることはまちがいないが、さすがに太平洋戦争となると、今自分で書いてて無理があると思う。

 機会があったら、この時代のことは又勉強したいと思っている。年をとったことで、自分と同年代の人たちの気持ちがわかるようになる。そのことによって、又新たな発見があり、疑問も湧くだろう。

2010年9月1日

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