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山本太郎と「れいわ新選組」への感想と期待

2019年6月17日

まずお断りしておくが、私は政治には全く疎く、せいぜい今の首相の名前くらいしかしらず、大臣の名前など一人も出てこないような人間である。そういうものが書いているものとして読んでもらいたい。

山本太郎という人を初めて見たのは、20年以上前だったと思う。テレビドラマかなんかだっと思う。ものすごく曖昧な記憶なのだが、アメフトをしている役だったのかな~、あんまりいい印象を持たなかったような気がする。まあ、とにかくほとんど印象にない。私は、今はテレビを持っていないのだが、当時もほとんど見てなかったので彼のことを1度か2度見た程度だろう。それで、2,3年くらい前だと思うが、山本太郎をネットで見かけて、彼は国会議員だという。「あっこの人見たことあるなあ。国会議員になったんだ。確か俳優だったよな~」ぐらいに思ったものだ。で、最近、山本太郎の街頭演説の動画配信をよく見ているのだが、すっかり彼のことが好きになった。なんといっても正直、率直でいい。役人的な狡猾さがない。人への優しさもある。思い上がったところもない。なんといってもユーモアがあって楽しい。やっぱり明るくなくっちゃ。私など選挙にほとんど行かないのだが、もしこの人が私の選挙区に立候補するなら投票にいくだろう。ちなみに今まで投票したことがあるのは、共産党とか民主党とか、それとマイナー政党の人とかかな。自民党の人には投票したことはないな。いままで好きだった政治家は亀井静香だけだ。あと野中広務くらいかな。野中さんはなくなったし、亀井さんは引退した。今好きなのは山本太郎だ。

さて彼は「れいわ新選組」なるものを立ち上げ、勢力を拡大しようとしているようだ。もしかしたら、今度の2019年7月の参議院選挙では5人位当選するのかもしれない。でもそっからが難しいだろうな~。今は彼の人間的魅力で人気を集めているようだが、れいわ新選組から立候補する人には、そういう魅力はないだろう。いわんや国会で過半数を取るくらいの何百人も魅力のある人を集めるのは不可能だ。日本がアメリカのように大統領制だったら、大統領になれたかもしれないが、日本で首相になるのはほぼ不可能だろう。いっそ、自民党にでも入ったら首相になれるかもしれないな。

じゃあ、良い政策をかかげて勢力を拡大できるかというと、それも難しいと思う。自民党というのは固定された政策があるわけでも何でもなく、単に政権にいたいというのが目的の政党だろう。だかられいわ新選組の政策に人気がでれば、それを取り入れるだろう。その結果、れいわ新選組の政策としての独自性というのはなくなるだろう。小泉時代の自民党も、当時マスコミでもてはやされた民主党の政策を取り入れて(民主党自体がマスコミ界隈で人気のあることを主張していただけだと思うが)民主党を無力化したんじゃないかな。だかられいわ新選組が今後勢力を拡大していくには自民党には真似できないような政策が必要なんだと思う。まず思い浮かぶのが財界との縁切り、不当な既得権益の打破。でもこんなのは共産党が長年言っていることだ。だからすぐにはいいのが浮かばない。もちろん「権力なんていらない、よい政策が実現できるならそれが自民党がやるならそれでいい」と高尚な考えならそれは立派だとは思う。あと、大事なのがれいわ新選組の組織としての立派さだ。これは本当に難しいと思う。人が多く集まればろくでもない人間もたくさん入ってくる。

山本太郎の政策だが、景気浮揚のための財政出動、それと貧富の格差是正のための金持ちに増税、貧乏人減税。というのがメインなんだと思う。金持ちに増税、貧乏人減税というのはいいのだが、財政出動というのは、この今の時点(2019年6月)では適切ではないと思う。これを説明するのは大変なので、まあ雑に言うが、財政出動による景気浮揚というのは、需要不足のとき、つまり労働力が余っているときにするものである。それは、余った労働力を有効活用し、失業者を減らすためにするのである。じゃあ、今の時点ではどうか。人手不足で運動業界、コンビニなど困っている状況である。そのため、バイト賃金はどんどん上がっているし、物価もどんどん上がっている。政府はデフレなどというが、それは馬鹿げた統計での話であって、需要不足どころか需要超過の状態である。ここでさらに財政出動などして、需要を喚起したら、石油ショック前のようなインフレになりかねない(ただデフレ、インフレは需要と供給だけで決まるものでなく、社会の雰囲気で決まるというところもあるので何とも言えないが)。たとえインフレにならなくても、すでに国内の労働力がフルに使われているのだから財政出動によって国民が豊かになるわけがない。富は労働によって生まれるのである。おそらく、今必要なのは財政を減らし、日銀は金融を引き締め需要を絞ることだろう。これが普通の経済学の考えだと思う。山本太郎の主張は少し前までなら良かった。特に2001年頃の小泉純一郎が首相だった頃なら本当に良かった。しかしながら、当時財政出動を主張した亀井静香は守旧派だの抵抗勢力だの何だの言われマスコミからさんざんけなされ、当然マスコミに影響されて、大衆もそう考えた。大衆はマスコミのコピーなのである。小泉首相時代の後半、少し景気が良くなると、小泉さんの政策と景気浮揚はなんの因果関係もないのに、マスコミは「小泉の正しさが証明された」と鼻息が荒かった。つくづくマスコミのバカさ加減というか品性のなさに嫌気がさしたよ。読売新聞とか日経とかね。
ここらへんの経済政策とかは例えば小野善康さんの「景気と経済政策」(アマゾンへのリンク)とか「誤解だらけの構造改革」などがお勧めである。経済というものの根本を知るにはアダム・スミスの「国富論」がいいんじゃないかな。200年以上前に書かれたとは思えないくらいに読みやすいよ。

でも山本太郎さんは本当によく勉強しているし優秀だよ。そこらへんの国会議員よりずっと優秀だよ。今度の参院選(2019年7月)でも当選して、明るく、楽しく、率直な国会議員になってもらいたいよ。太郎さんは寄付をさかんに募っているらしいが、選挙に金のかからん制度をつくるように努力してもらいたいね。政党助成金などというふざけたものはとっとと廃止してもらいたい。一体、日本のGDPのいくらが、選挙という実質的には何も生産しないものによって占められているんだ。失敗してもいいんだよ。鳩山由紀夫だって失敗したが沖縄からアメリカ軍を追い出そうと努力したじゃないか。それだけでも大したもんだよ。

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