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吉本隆明の思いで

さる2012年3月16日吉本隆明さんが亡くなられました。そう遠くない日にこういう日が来るとは思っていたし、人間いつか死ななければならないわけだが。まあ残念でもありお疲れ様とも言いたい。 吉本隆明の名前を初めて聞いたのはいつだろう。おそらく大学卒業するころかなあ。ただ名前だけ聞いていて興味もなく、著作を読もうなんて思わなかった。きっと偉い人なんだろうくらいしか思わなかった。私が吉本隆明の本を初めて読んだのは西暦2000年頃、私が30歳のころだ。「超20世紀論」という2冊に分かれた本で対談形式だった。正直言ってこれを呼んで驚いたな。悪く言えば、ただの悪口集のような本だった。吉本隆明がこいつはどうしようもないとか、いろいろこきおろしてたと思う。こんなに社会的名声がある人がここまで何というか品もなく悪口をいうってのはカルチャーショックに近いものだったな。でもその自分をよく見つめていて、その何というか、マスコミとかのステレオタイプとは対照的な率直な意見というのも印象に残ったな。でまあ、それから吉本さんの本はいくつか読んだ。難しいのでなくエッセイみたいのとか対談ばっかりだけど。考えが違う面も多いんだけど、やはり自分を見つめる率直さってのはやはり尊敬するところだなあ。あと社会通念にとらわれない独自の考え。なんだったか、確か、アイドル歌手は歌がうまくなるというのにはなるほどと思ったな。確か、アイドル歌手は最初は下手だけど、いやでも仕事で一日中うたっていると必ずうまくなるというような説だったと思う。世間ではいやいややってもうまくならんとか、向上心がなくやってもうまくならんとか、嫌いなものをやってもうまくならんとか、アイドル歌手は歌が下手だとか俗説が言われているけど、吉本さんの説は実に的を得ていた記憶があるんだ。吉本さん、長い間お疲れ様でした。又、著作を読ましていただきます。

2012年3月22日

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