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美幌峠の思いで③(日高から札幌まで)

 日高に着いて私は日高自然の家(?)というところに向かった。実はそこでは私が大学1年目のとき体育会の合同キャンプというのがあって、その施設のことを知っていたのである。それで私はその施設に行き、事務所に行き軒先で寝てていいですかと聞いた。そうしたら、「いや泊まっててください」ということで、ただで泊めてもらったのである。風呂にも入れてもらった。実に善意に囲まれた旅だった。風呂に入るとお尻が痛かった。3日間の自転車の旅でお尻の皮がめくれていた(?)のである。

 私は日の出とともにその施設をでた。その朝の日高の空気がきれいで感動したことを今も忘れられない。緑がきれいだった。空気が澄んでいた。素晴らしい旅だった。私はまず太平洋方面に向かった。お尻が痛かったが札幌にその日の内に着く予定だったので気分は乗っていた。太平洋岸まではでず、県道とかを通りながら千歳に出た記憶がある。千歳から札幌はあっという間だった。私は15時ころ大学に着いた。着いたときに大学の体育館まえで撮った誇らしげな私の写真がある。
知り合いをつかまえて撮らしたのだろう。その時の写真がこれである。この4日間の旅で私の体重は4キロ落ちた。80キロから76キロへ。もちろん、すぐ戻ったが。

 下宿に戻っても阿寒湖をすぎたところで別れたW君はまだ帰っていなかった。彼はその後も旅を続け、それから、どうだろう1週間くらいして、土砂降りの雨の中帰ってきた。彼は8月の始めに1日、2日ぐらいで帰ってくるような感じで出発し、利尻岳や知床岳を登り、全北海道をほぼまわり、約1カ月の旅をしてきたのである。すごいと思った。

 この北見から札幌への自転車の旅は本当に楽しかった。自転車をこいでいるときはハイテンションだった。自転車をこぎながら、叫びたい気分だった。自分の筋力だけで、1日100キロも150キロも走れるのだ。この後、私はまた自転車旅行をしたいと考えていた。あの楽しさをもう一度と考えていたのだ。でも結局旅に出ることはなかった。たとえ自転車の旅にでてもあの時ほど楽しいということはなかっただろう。なにごとも、時期というものがある。まさに、あのタイミングだったからこそあれほどハイになれたのだ。だから、今はもうそんな気はない。

 この美幌峠の思いでは完全に自分のために書いた。あの時のことを記録しておきたかったし、あのとき考えてたことを思い返し、今の自分を反省し残りの半生に活かしたいと思った。

2010年8月28日

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