静電気学についての概観

基本法則

静電気学と言うのは電荷が静止しているときの電気学です。基本法則はクーロンの法則です。

これで終わりといえば終わりなのです。これはマクスウェル方程式の時間微分を0とした時の式

から導けます。ただ、あくまでも電荷密度を連続体とした場合です。逆にクーロンの法則からもこの2個の式が導けます。つまり、この2つの方程式はクーロンの法則を表しているということです。静電気学に限って言えば、クーロンの法則のほうがずっとわかりやすいです。だからマクスウェル方程式は不要でしょう。それからポテンシャルの式

で電荷密度が時間変化しないとした式もクーロンの法則と同じことです。

導体での法則

しかし実際はこれだけでは終わりません。新たな原理が必要なのです。まず絶縁体と導体の区別が必要です。で大事なのは導体なのですが、導体に関してはクーロンの法則以外に以下の法則が新たに必要です。
1.導体中の自由電子は電場があれば静止せず電場の方に動
2.導体中では電場は存在しない
3.自由電子は導体の表面にしか存在しない(プラスの電荷も含めて電荷は導体の表面にしか存在しない)
4.電場は導体の表面に垂直
これらには最もらしい理由はあります。もし導体中に電場があれば自由電子が動くであろう。しかし実際は電流はない。だから導体中には電場はない。これが上記2「導体中では電場は存在しない」の理由です。3については、導体の周りが絶縁体なら自由電子は導体から出られないだろうというところでしょうか。4については導体表面の電場に水平成分があれば自由電子が横に動くだろう。しかし動いていない。だから垂直である。というものです。理由としてはそれなりですが、決してマクスウェル方程式、同じことですがクーロンの法則から導出されるものではありません。クーロンの法則からは静止電荷が安定にいられないということが簡単な考察から言えるのです。だからクーロンの法則からは導体表面に電荷が静止してはいられないといえるのです。電荷を表面にとどめているのは電磁気学的量子力学的力です。

いろいろと電磁気学の範囲で上記原理を考えていても決して明快な理由は出てきません。だから実験事実だと思うことです。ここらへんが電磁気学がマクスウェル方程式だけではないという所以です。これらを量子力学で説明ができるのかどうかは私は知りません。

クーロンの法則の正しさの根拠

力が距離の逆に2乗に比例するということは、クーロンによって確かめられました。これは逆二乗に比例するということが予想されていて、それをクーロンが実験的に確かめたようです。もちろん実験ですから測定結果がピッタリ逆2乗になるわけはありませんので、逆2乗に近かったということでしょう。それから間接的には、キャベヂィッシュだったかな、が2つの金属球を使って逆2乗則を確かめたようです。
それから力が電荷の量に比例するというのは力の重ね合わせの原理から当然そうならなければならないわけです。これを実験的に確かめたかどうかは不明です。

その他応用など

その他にも静電気学の細かいことはいっぱいあります。ポテンシャル、一意性定理、静電場のエネルギー、グリーンの相反定理、静電容量、Cij=Cji、鏡影方などなど。ただあんまりおもしろくはないですね。