力学について

力学の法則は

第1 加速度は質量に反比例し、力に比例する。

第2 慣性の法則

第3 作用反作用の法則

なのであるが、もちろんこれだけでは足りない。

解説しよう。まず速度や、加速度と言うからには何に対する加速度かを言わなければならない。それはとりあえずおいとくとしよう。とりあえず地面に対してぐらいでいいだろう。高校生にはこれで通じる。第一法則は

と下記表わされるわけだがこれについて解説する。第1法則は力を定義しているだけじゃないかという疑問もあるが、違う。それ以上の内容を含んでいる。

質量について

質量についてマッハが言うような難しい定義はおいといて、素朴に考えよう。例えば水1cmの質量を1と決めたら、水2cmの質量は2である。つまりある物質のある体積の質量を1と決め、同物質のものの体積が例えば5倍されたらその質量を5とするのである。(尚相対論ではこの定義とは違う。運動エネルギーやポテンシャルエネルギーの増加で質量が増えると言うふうに定義しているからである。)それから違う種類の物質間の質量にはどう数値を付すかという問題がある。簡単に考えられるのはシーソーで釣り合うと同じ質量の数値を付すことである。ばねでつるして同じ長さ伸びたでもよい。マッハのように2つの物質をばねでつなげて加速度の比を質量と定義する手もあろう。しかし実に不自然な定義ではある。というのは質量が数値ということは数だということである。すなわち数えられるものなのである。そのためには暗黙のうちに重ね合わせの考えが入っているはずである。体積に比例する考えだと、質量1の物質が2個あれば質量は2、3個あれば質量3というように数えると言う概念つまり同じものの個数と言うものにあっている。

力について

力の概念は第1法則の定式化のまえから人間にあるものである。筋肉の抵抗の感覚から来たのもである。あの人は力が強いと言えば、重いものを持ち上げたり、押したりする能力が強いということであろう。ところで力が数の2だとはどういう意味であろうか。それは1という力にさらに力1を加えたものである。例えばある人がある物体を押してその力を1とするなら、同じ程度の力の人が同様にその物体を押せば力は2と呼ばれるであろう。もっと正確には例えば物体を引っ張ったときばねの伸びが5cmだったときの力を1とすると。同じばねをもってきてそのバネが5cm伸びる力で引っ張ったら力は2と呼ばれるだろう。つまり力が5倍になったとはある力を5個同じ方向に加えるという意味である。

このように取決めた数値をに代入すると加速度がそうなるということを主張しているのである。決して力を定義しているわけではなく、力の概念はすでに我々の観念のなかにあり、それと加速度が比例すると主張しているのである。。
ただ力というのは現在では電磁気力や核力等微視的力に置き換えられてしまった。摩擦力やばねの力は現象論的力であり、電磁気力から導かれなければならないものである。実際はそんなことはできないのだが。

作用反作用について

第2法則は第1法則に含まれている。第3法則も実は第1法則に含まれている。だから定理なのである。質量1の物質A、Bを2つ連結するとする。そして2という力の量で片方の物質Aを引っ張るとする。このとき加速度は第1法則より1になる。ところでAと言う物質は力2で引っ張られている。ところで加速度が1ということはAはBより逆方向に1と言う力で引っ張られているはずである。そしてBも加速度が1ということはAから1と言う力で引っ張られているはずである。すなわちA、Bが互いに及ぼす力は等しいと言える。

電磁気学では普通の意味での作用反作用は成り立たない。電磁場のE×Bを運動量に入れれば成り立つ。

基準系(慣性系)について

速度や加速度をどの系から測ったら第1法則が成り立つか。簡単に言えば、恒星に対する静止系である。ガリレをもそう考えていたであろう。もっと正確に言うと、恒星にたいする自由落下系であり、さらに世空の星に対して回転していない系のことである。恒星も互いに動いているので一体恒星に対して回転してない系とはどういうことかという問題がある。しかし式の中にそのことが現れていない。その欠点を改善したのが一般相対性理論である。有名な思考実験がある。それは・・・

重力について

なのだが、重力が引く側の質量に比例するというのは、全てのものが引き合うということと、力が重ねあわされると言うことの結果である。引かれる側の質量にも比例すると言うのは作用反作用の結果である。この質量が慣性質量と比例すると言う意味は、重力質量と慣性質量の比が物質の種類によらないと言うことである。ところで物質の種類が同じとはどういう意味であろうか。いまの考えでは、原子成分や配列が同一と言う意味であろう。

ここでは少し論理のことを書いたが大事なことは真実はどうかということである。そして因果律はどうだということである。こうしたら、何が起きるかということである。だから、どれからどれを論理的に導けるということは、興味によるが、それほど重要なことではない。

力の平行四辺形の法則について

これはニュートンのプリンシピアでは定理として述べられている。力の向きが異なる場合、力の合成が平行四辺形の対角線になるよという内容である。静力学では昔から常識であったのであろう。物体が動いているときにもこれが成り立つということである。実験的に確かめるのはそれなりに難しそうである。力が万有引力の場合は成り立っていることが天体の運動で確かめられるであろう。常識に考えても成り立つと思う。というのは