2021年3月23日

量子力学の原理を考える

付録E 固有値が実数であること、固有ベクトルが直交すること

固有値が実数であること

 \(\phi\)はエルミート演算子\(B\)の固有ベクトルで固有値は\(b\)とする。 \[ \phi^\dagger B\phi=\phi^\dagger b\phi=b\phi^\dagger \phi \] であるが一方 \[ \phi^\dagger B\phi=(B\phi)^\dagger \phi=(b\phi)^\dagger \phi=b^*\phi^\dagger\phi \] である。だから \[ b\phi^\dagger \phi=b^*\phi^\dagger\phi \] だから\(b=b^*\)つまり実数でなければならない。

異なる固有値に対応する固有ベクトルが直交すること

 \(\phi_1,\phi_2\)はエルミート演算子\(B\)の固有ベクトルで固有値はそれぞれ\(b_1,b_2\)とする。 \[ \phi_2^\dagger B \phi_1=\phi_2^\dagger b_1 \phi_1=b_1 \phi_2^\dagger \phi_1 \] である。一方 \[ \phi_2 B\phi_1=(B\phi_2)^\dagger \phi_1=(b_2\phi_2)^\dagger \phi_1=b_2\phi_2^\dagger\phi_1 \] である。だから \[ b_1 \phi_2^\dagger \phi_1=b_2\phi_2^\dagger\phi_1 \] である, もしこの2つの固有値\(b_1\)と\(b_2\)が異なるなら\(\phi_2^\dagger\phi_1=0\)でなければならない。

PDFファイルA4、130ページ、4.8MB

目次

序文

記号・用語

第1章

第2章

第3章

第4章

第5章

第6章

第7章

第8章

第9章

第10章

付録A

付録B

付録C

付録D

付録E

おわりに