記号・用語
この論文で使われている用語や記号について簡単に説明する。おおむね普通の文献と同じ用法を使ったが、通常は「固有状態」と言うところを「測定状態」という言葉を使っている。また「固有値」のことは「測定値」とか、「取りうる測定値」という言葉を使っている。その方が実態に合っていると思ったからである。位置や運動量などの連続変数を離散的に扱った。それは離散的な値しか現れないエネルギーや角運動量などと区別するのが面倒だからである。\(P(x)\)を位置の確率分布、\(P(p)\)を運動量の確率分布というように異なる確率分布に対して同じ\(P\)を使った。本来は\(P_x(x)\)、\(P_p(p)\)などと異なる関数ということを添え字などをつけて区別すべきなのだが、記号が煩雑になるので同じ記号を使い、変数記号の\(x\)、\(p\)自体に意味を持たせた。一般に\(x\)は位置、\(p\)は運動量、\(\varepsilon\)はエネルギー、\(l\)は角運動量を指すのに使った。確率分布以外、例えば確率振幅などでも変数自体に意味をもたせた。 以下、この論文で使われている用語とその意味を列挙する。
- 測定状態: 固有状態のこと
- 測定値: 固有値のこと
- 測定変数: 確率分布や確率振幅に現れる変数で、位置、運動量、エネルギー、角運動量などである。測定変数と呼ぶ理由は、変数の取りうる値が測定値として現れるものだからである。
- 表示: 例えば運動量表示と言えば、ある状態を運動量の確率振幅で表しているという意味。
- 確率分布団:その系のすべての状態の確率分布のこと
- \(P(x,y,z;\lambda)\): 状態\(\lambda\)での位置\(x,y,z\)の確率分布
- \(P(p_x,p_y,p_z;\lambda)\): 状態\(\lambda\)での運動量\(p_x,p_y,p_z\)の確率分布
- \(\psi(x,y,z;\lambda)\): 状態\(\lambda\)での位置\(x,y,z\)の確率振幅。一般に位置の確率振幅に関しては\(\psi\)を使う。
- \(\varphi(p_x,p_y,p_z;\lambda)\): 状態\(\lambda\)での運動量\(p_x,p_y,p_z\)の確率振幅。一般に位置以外の確率振幅に関しては\(\varphi\)を使う。
- \(k(x;p)\): 運動量の値\(p\)の測定状態(固有状態)での位置\(x\)の確率振幅。\(k\)は固有状態の\(k\)から取った。一般に測定状態の確率振幅は\(k\)を使う。
- \(\left\langle \quad\right\rangle \): 平均。例えば\(\left\langle p\right\rangle \)なら運動量\(p\)の平均値。
- \(*\): 複素共役の記号。例えば\(a^*\)なら\(a\)の複素共役という意味。
- \(\dagger\): 転置共役の記号。例えば\(U^\dagger\)なら\(U\)の転置共役。